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ということで、新たな単語の登場で文系マスコミがまたおろおろしている様子にたまりかね、「ベクレル」についてちょっと私見を書いてみようかと。先日の記事の時はやや遠慮気味に書いたのですが、その後ほぼ同じ内容をマスコミが後追いしてきたので、今回はちょっと自信ありげに書いちゃいます。若干おちゃらけ気味な書き方になってますが、そこは興味をひかれてより多くの人に読んで貰えればという思いも込めてますのでどうかご容赦。
物資輸送に参戦するには遠いし、ぱーっと飲み食いして経済を盛り上げるには田舎ですし、とりあえず、これ読んで、一人でも多くが細かいこと気にせず平時を取り戻す一助になればと思います。まあ、これが自分にとっての自分なりに出来る事です。コストゼロ円ってのがちと心苦しいが(^^; とりあえず最初に断っておきますが、かなり長いです!(笑) シーベルトは 「計測値(シーベルト/時)」×「その場に居た時間※遮蔽物無しで(時間)」 =「受けた放射線量(シーベルト)」 という簡単な掛け算の関係なのでマスコミ諸氏も一週間くらいで理解した様子ですが、本当は単純掛け算でなく時間積分です。まあでも、とりあえず掛け算で十分です。今現在一般の人が居る環境ではどっちで計算しても大して違いませんから。 さて、シーベルト野郎の正体が分かってきた頃に突如現れた「ベクレル」。どうやらシーベルトの子分っぽい事は想像できるが、どういう関係かよく分からない方も多いでしょう。マスコミ諸氏も「検出されました」「基準の○倍です」ばかりの報道でシーベルト野郎登場初期に逆戻り。 「ベクレル」はその物質が放射線を出す能力の強さの単位です。放射「能」という言葉を使うのは「能力」の単位だからです。そしてその物質から出された放射線を計った値が「シーベルト」。 「放射性物質」「放射能」「放射線」この3つの言葉の違いをイメージできているならあなたは既に原子力工学初級クリアです。 どの物質がどれくらいの放射能を持っているのか。それは物質の種類によって違います。当たり前です。どのエンジンがどれくらいの馬力を出すかと一緒。エンジンの種類によって違います。この馬力にあたるのが「ベクレル」の値と考えましょう。 その物質からどれくらいの放射線を受けるかに置き換えると「シーベルト」になるわけですが、その物質が空気中を漂ってる場合、空気と一緒に人間が吸った場合、水と一緒に飲んだ場合、それぞれ違ってきます。当たり前です。同じ馬力でもターマックとグラベルと氷上ではタイムが違うのと一緒。 さてここからが本題。概念は分かったとして具体的な値はどう捉えるか・・・どの物質についてのどういう状況下での放射線を考えるかを、それぞれケース別に換算してやれば良いわけですが、ベクレルについて詳しく知ろうとwikiあたりで調べたりすると「一秒間に原子核が崩壊する量が~」とかいった解説が出てきます。たいていの人はここで挫折します。当たり前です。Bライ取るのは面倒なのです。 でも、ちょっと待って下さい。 「車なんてアクセル踏みさえすれば走るんとちゃうんかー!」 と思ったあなた、正解です(笑) この際、原子核の崩壊うんぬんはどうでもいいです。「一秒間に可変バルブのリフト量が~」とか知らなくてもタイムは計れます(つか、そんなのBライ講習に出てこねーし はい、ここだけ覚えて~ 「放射性ヨウ素を飲み食いした際に受ける放射線量(ミリシーベルト)」 =「ベクレル(キロあたり)」×2.2×10-5乗×「洗わず生で飲み食いした量(キロ)」 「放射性セシウムを飲み食いした際に受ける放射線量(ミリシーベルト)」 =「ベクレル(キロあたり)」×1.3×10-5乗×「洗わず生で飲み食いした量(キロ)」 ここで使う「2.2×10-5乗」や「1.3×10-5乗」は「実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)」というもので、元素の特性や時間経過を考慮した換算係数・・まあ掛けときゃいいんです。 一般の人が1年間に受けて差し支えないとされる放射線の基準が「1000マイクロシーベルト=1ミリシーベルト」という話はもうあちこち出てるでしょう。従って上で求めた値が1を越えなければ基準以内という事になります。「1年間に」なのでこの先それを飲み食いし続けるかどうかが関係します。 極端に言えば、仮に今日0.999ミリシーベルト食べてしまっても明日以降一年間食べなければ基準は越えませんし、0.00275のものを365日食べつづけると1を越える事になります。 政府マスコミが言う「ただちに影響は」とはそう言う意味です。今日食べたせいで明日ガンになるのか10年後ガンになるのかという意味の話ではなく、いつまで食べつづけるとどれくらいの値になるかという意味です。でもって、何年も大量に食べつづけた結果、数十年後にガンになる確率が何%か上がるかもしれないし上がらないかもしれない、というレベルのリスクを専門家は語っています。 要は 「ちょっとくらい食ったって死にゃーしねーよっ」 って事なんですが、そういう言い方では誰も信じないというか権威が失墜しますので(失墜しないのは武田先生くらかとw)、専門家の皆さん方の言い回しは「ただちに人体に影響が出るわけでは~」という紛らわしい言い方になるわけですね。 一つ注意点は、もろもろ合計で1を越えるかどうかです。例えば水とほうれん草に放射能があるとするなら、それぞれ計算した合計が1を越えるかどうかです。いろんなものからちょっとずつ摂取してしまう可能性を考えれば「食べないに越した事はない」という言い方は、予防的な意味で正しいと思います。 ※「検出したものを食べないに越した事はない」と正しく解釈しましょう。 いま当該地域産で市場を流通しているものは「検出しなかった=計ってないかも」 ではなく「検出されていないことが確認されたもの」です。 ※水道水に関する乳児への影響については、乳児は細胞分裂が活発なため 放射線の感受性が高いという説があります。しかし、じゃあどこまでなら 安全なんだ?と問われても線引きを保証できる研究者は居ないでしょう。 それで「大人の半分を基準にして、念のため控えるに越した事はないが 他に無ければ飲んでもいい」といった曖昧なアナウンスになるのだと思います。 一方で、粉ミルクは製造過程において水道水で溶くことを前提にした成分調整 を行っています。水道水と極端に成分が違うミネラル水を使うと、かえって 良くないケースがあります また、空中の放射線を普段よりもいくらか受けているとしたら、それも1から引く必要があります。その意味で「なるべく肌をさらさない方が良い」と言うのも予防的な意味で正しいと思いますが、普段受けている量との差で計算する必要があります。日本ではだいたい普段は0.05マイクロシーベルト/時くらいですので、0.15マイクロ/時検出されているなら、「0.0001ミリ(=0.1マイクロ)×全裸で外出した時間」が計算対象です。 そうは言っても人間が一年間で飲み食いする量は限りがありますから、あらゆるものに放射能があったとしても越えないくらいのレベルであれば全く気にする必要は無いです。ていうか、元々あらゆるものに微量に含まれてます。人間の肉体ですら放射能を持っているくらいで、その値は115ベクレル(キロあたり)と言われています。あなたも私も数千ベクレルの放射能を持った放射性物質なのです。 さすがにそれを飲み食いした場合のシーベルト換算値は探しても見つかりませんでしたが(^^; 仮に基準の1ミリを越えてしまったからといって365日目に即死するわけではありません。1ミリシーベルトというのがどれくらいの規模感なのかは、先日書いた通りです。 ちなみに、ここで書いている「基準」というのはICRP勧告に出ている国際基準であり、その基準単位はあくまで「ベクレル」ではなく「シーベルト」です。政府が何を根拠に100ベクレルとか200ベクレルとか言ってるのかは知りません。食べる量も好みの野菜も人それぞれですから、「ベクレル」だけで語るのは厳密な意味での科学的整合性は無いのです。また、ICRPによると「たまには1ミリシーベルトを越えてもいいけど、5年連続では越えないようにしましょう」とあります。放射線技師とか職業被曝する人はもっと大きな値で何年も働いてるらしいですけどね。。。 p.s. 最近よく引き合いに出されるCTスキャンですが、実はこれによってガンの発生率が上がっているのではないか、という研究もあります。その研究というのは、勿論、CTスキャンで即死する人が居るわけでもなく翌日からガンになる人が居るわけでもなく、何十年単位で追跡調査した結果、医学統計的に何%か影響が出ているかも?(かも?レベル)といったものです。そもそも何もしなくても(or他の要因で)ガンになる人も多いわけで、ガンの医学統計は扱いが難しいですし、ある意味気にしても仕方無いものかもしれません。極論すれば、日本人の全員が同じ一定量の放射線を被曝したとします。その影響は国内の医学統計には現れようがない(差が付かないので)のです。国別比較や年代比較をしても、そもそも生活環境が違うので参考比較程度にしかならないでしょう。統計とは比較要因が異なり、かつその要因以外は同じ前提のデータで集計しなければ成り立たないのですから。(原発作業現場の急性症状はまた別の話です。症状も放射線量の桁も別物です) 差し当たり、私にとっての敵はガンマ線よりガンマGTPだったりしますorz
by nissii_z27ag
| 2011-03-25 20:02
| 日常その他
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